アフリカ地域研究専攻の受験を考える方へ
専攻長のあいさつ
アフリカ地域研究専攻の教員や研究員、院生たちはアフリカ大陸の各地でフィールドをもち、社会や文化、自然、生態に関する幅広い研究をおこなっています。なにに興味があって、どのようなテーマや対象を設定するのか、どのような手法で調査をするのか、そして、現地の言葉を駆使し、地域とそこに住む人々と1日、1か月、1年、5年、10年、30年と人生を歩むなかで、研究者としての個性やユニークさが磨かれていきます。
アフリカ大陸の自然と人々は、さまざまな魅力を持っています。砂漠やステップ、サバンナ、乾燥疎開林、熱帯雨林、高山帯が存在し、そうした自然環境に人びとが居住し、さまざまな生活・文化のかたちがあります。また、近年の高い経済成長率によって中間層・富裕層も誕生し、都市化の進展によるさまざまな経済活動や文化現象も現れています。そして、環境問題や格差社会、内戦やテロに対する人びとの大胆で、かつ地道な取り込みなどもみられます。地域を知るには、文献を読んで知識を得ることも必要ですが、フィールドワークを通じてその地域に深く関わり、体で学び、みずからが持っている先入観や固定観念を打ち破るというのがわれわれの基本的なポリシーです。
現在のアフリカでは、貧困・飢餓問題や経済格差の拡大、感染症の拡大、環境問題、民族紛争、宗教間の対立、テロ組織の台頭が複雑に結びつき、さまざまな問題点があることも事実です。新型コロナ・ウィルスによる肺炎の拡大は、アフリカだけでなく、欧米、そして日本でも、人類にとって大きな脅威となっており、経済や社会、政治、国際関係のあり方だけでなく、人びとの日常生活や行動、社会秩序にも大きな変化をおよぼしています。
これまで2年間にわたってアフリカのフィールドワークを自粛してきたところがありますが、コロナ・ウィルスの感染症や社会情勢をみながら、アフリカにおける現地調査をゆっくりと再開していくことを計画しています。われわれはフィールドワークや文献講読、研究者どうしの議論、社会との対話などを通じて、激動する社会情勢のなかで、現地社会の論理からさまざまな事象やその変化、あるいは諸問題の構造を深く理解することを重視しています。
京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科
2022年度アフリカ地域研究専攻 専攻長:大山修一
専攻の特色
アフリカ専攻の特色は、以下の3点に集約することができます。
1. 多様な専門分野を横断する地域研究
現代アフリカで生じているさまざまな課題を理解するためには、学際的な視点にたって事象を検討する必要があります。アフリカ専攻には、自然科学系と人文社会科学系の分野を専門とする教員が在籍して教育研究活動に従事しています。これに加えて、研究成果を社会に還元することを目指して、国内外の研究機関や行政機構と連携して、実践的な活動に従事している教員もいます。
*以下のサイトに教育活動についての詳細情報をまとめています。
2. フィールドワークを重視した教育研究活動
アフリカ専攻では、今アフリカで起こっている出来事を理解するために、フィールドワークという手法を基盤にして研究活動をおこなっています。アフリカ専攻の院生によるフィールドワークについては、大学院生のフィールドワーク報告を参照してください。専攻(研究科)では、院生のフィールドワークに対するさまざまな支援プログラムを提供しています。また、渡航中の安全に関する講習会なども実施しています。在籍している大学院生の声、教育支援プログラム、フォールドワークのための安全基礎情報については、以下のサイトを参照してください。
3. 対話を重視した教育
アフリカ専攻では、3人の教員が一人の大学院生を指導する指導教員群制(複数指導教員体制)を採用しています。新入生は入学後5月中旬までに主指導教員1人と副指導教員2人を選び、調査研究について指導教員と相談しながら具体的な研究計画を確定していきます。その後も、博士予備論文の執筆、博士論文執筆のためのフィールドワーク、博士論文の執筆にいたるまで、指導教員と個別に相談しながら研究活動をすすめていきます。より具体的な教育活動については、以下のサイトを参照してください。